ぴよまろ

ジョーカーのぴよまろのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.3
「バットマン」シリーズの敵役であるジョーカーが誕生するまでの物語。
1981年のゴッサムシティで発作的に笑ってしまう病気を持つ主人公アーサーが、コメディアンになる夢を抱えながら、社会的困難の中でジョーカーへと変貌していく。

新たなジョーカー像が生み出された傑作。もとは善良ながら、病気によって周囲から誤解され、母の介護、貧困層である苦悩など、社会的弱者が抱える問題によって、疲弊していく様子がリアルに描かれていました。その結果、主人公アーサー(ホアキン・フェニックス)の暴発も、共感までいかなくとも納得ができる。クライマックスにおいて、アーサーがジョーカーとしてテレビ番組で起こした凶行、その後の「ジョーカー」を慕う社会的弱者のカリスマとして君臨する様は、ある種のカタルシスを感じさせられました。その強烈なメッセージ性と、映像的美しさ、ジョーカーとしての演技の凄まじさとが合わさった強烈な作品でした。

さらに、ラストシーンのこの物語全体が虚構であったかのような演出によって、「アーサーがジョーカーなのかは定かではない。しかし、社会的弱者を代弁する者は誰でもジョーカーになり得る」という、強烈なメッセージを感じました。最後までとんでもない映画です。
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