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ジョーカーのKentaのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.6
トッド・フィリップス監督が描く、DCコミックス最恐ヴィラン"ジョーカー"の誕生。笑顔で人々を楽しませるよう育てられたアーサーの悪への道。彼が悪に落ちた真実が語られる。
主演のホアキン・フェニックスは、アカデミー賞で主演男優賞を受賞。彼の怪演には称えられるべきものがあった。

格差社会が著しい街、ゴッサム・シティ。貧富の差が激しく、貧民はみな余裕がない。アーサー・フレックもその街の一人だった。
彼は、仕事柄ピエロの格好をして薄給の中、母親と二人で貧しい生活を送っていた。それに、彼は普通の人とは違っていた。大事な時や緊張してしまう時に、笑ってしまう精神的病を持っていたのだった。
ある日、そんな彼をいろいろな問題が襲う。仕事を邪魔されボコボコにされるが、その事実は会社に受け入れられず、カウンセリングはなくなり、精神薬はもらえなくなった。
そんなアーサーだったが、同僚のランドルがある時拳銃を渡してくる。この出来事が、アーサーの運命を大きく変えるのだった…。

世間が生んだヴィラン"ジョーカー"。
優しき男を悪のカリスマに染めたのは世間であり、その世間のトップこそが"ジョーカー"なのだろう。アーサーは、たまたま自分の置かれた境遇やタイミングが重なって"ジョーカー"へとなってしまったが、ゴッサム・シティのような場所では、いずれ誰かがあのようになっていたのではないかと思った。

ジワジワと変わりゆく狂気。
開始直後のアーサーは悪のカリスマなんかではない。笑ってしまう病気は持っているものの、何も悪いことなどしていないし、子供好きで母親想いでとてもいい人だ。この開始からジワジワと悪に染まっていく感じが良かった。

賛否両論の作品。
人によってはとても共感できると聞いたし、逆に全く共感できないというのも聞いた。僕はどちらかというと後者だ。そのため、これといって今作で響くものはなかった。おそらく、格差社会の程度が甚だしかったりしたら分かるのかもしれない。米国で影響が出まくったのは納得だ。

ふと思った疑問。
最後になるが、DCコミックスにあまり詳しくない僕にとって、物語の一部曖昧な点があった。アーサーって、トーマスの子供なのだろうか…。仮にそうだとしたら、ブルースと血縁関係にあるということになる。だったら、バットマンとジョーカーの争いって…。。

ということで、個人的には世間が騒ぐほど響かなかった作品だった。ただ、ホアキンの演技にはとても魅了されたのは確か。
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