三郎丸

ジョーカーの三郎丸のレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.7
こんなにも哀しく笑うピエロがいたでしょうか…

ストーリーは、
心優しい道化が絶望の底に堕ちJOKERという憎悪と悪のカリスマへと変貌を遂げるまでを描く。

主人公は緊張を感じると笑ってしまう精神病という設定。作品の随所で
「ああ、こんなところで笑ってしまうのか…」
という一般的には何が面白いの?な場面で笑ってしまいます。
でも、主人公もここで笑ってはいけないという笑い顔なのです…
家庭環境、道化パフォーマンス時、チンピラや道化の事務所等々、主人公が現れる先々で、これでもかと不運に見舞われ(のび太君がチラと頭をよぎりましたが、そんな彼でもこんなに不幸の盛り合わせ来ませんよ…)
可哀想な日常を送っているという展開は、悪に目覚めるプロセスとして充分フラグがたってますが、不幸の涙は見るからに悲惨で、見る人に主人公を憐れむ気持ちにさせます…そんな彼が笑えば笑うほど。
因縁の、バットマン家族の富豪っぷりと主人公の家庭環境の差も見事なコントラスト、絶望感の調剤としてマッチングしています。
そして、母親の過度なネグレクトや虐待が存在したこと。
トドメは、主人公が敬愛する(唯一のお楽しみ)テレビ司会者のロバートデニーロ(この作品に彼を出したころに監督のこだわりは感じましたが…)ですら主人公を表に引き摺り出して嘲笑する材料としか見なかった。

結局、
【主人公の絶望の前には、希望の光やバットマンは居なかった】

そして、自身には道化のお面を被った同じ不満や心に傷のある怒れる仲間ができる。(日本人にも仲間が沢山居るかもしれませんが…)

本作品はとにもかくにも
ホアキンフェニックス演じるアーサーです!
痩せに痩せて、作中でどんどん狂っていく様は必見です。
個人的には、
主人公のテレビ出演が決まり独り登場パターンを練習する件!
こんなにもむなしい独り練習ありますか!!(チロチロパターン変えて、自室のカーテンから出てきて…その練習自体が寂しいぜよ!!!涙)

何処の場面とは…ですが、
主人公がパトカーに乗り、ピエロのお面の仲間達の待ち構えるところ辺りでスローになり、最後に【違う意味の笑顔】になるところで白んでいく形で良かったかな-!!と思いました。

まあ、世の中不幸が重なったり、トラブルが続いたりする人もいて、最悪ジョーカーのように犯罪を犯す人もいるかもですが。
不幸がいくら重なっても出来うる限りの努力をし、頑張り続ける方をわたしはリスペクトしたい。

満点にしたいですが、ダークナイトのように何度も観るか?と問われると、それはウソになるので、チョイとマイナスでお願いします!
三郎丸

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