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カプリコン・1のbeachboss114のレビュー・感想・評価

カプリコン・1(1977年製作の映画)
5.0
出ましたよ、幻の129分バージョンBlu-ray。

くっそ高かったけど、買っちまいました。もう、何回目だ。こういうマニア商法にまんまと乗せられる度に、陰ながら日本経済を支えている実感沸きますわ。アホなおっさんたちを大事にしましょう。

安上がりに見えるブックレットの解説が意外と充実していたのはありがたかった。肝心のカットに至る謎は解き明かされていないのが残念だが(もうちょっと取材してくれよ)、バージョン違いの具体的な箇所の比較や、129分版フィルム発見のいきさつがある程度わかったのは興味深い(それでも、やっぱ背景とか、もうちょっと取材してくれよ)。

公式版より6分長いだけだが、この違いは決定的に大きい。単なるカットだけじゃなく、前後を入れ替えてある部分もあるし。

個人的には、ペンを糸で釣って無重力を演出する場面が復活したのが嬉しい。ああいうディテールは、この手の陰謀モノの説得力を増す上で欠かせない要素だし。

クライマックスの空中戦は迫力が増したが、長くなった分、かえって冗長な印象に。逆に、123分バージョンの時には物足りなかったんだけど。

余計なことは語らないラストの切り上げ方も潔くて素敵なんだけど、他のマニアな方も指摘されているように、スローモーションにしたせいでダッサダサなのが哀しい。初見の時は劇的に盛り上がる劇伴のおかげで気にならなかったんだけど、一度気になりはじめると、もう無理。まぁ、こればっかりは、どちらのバージョンも同じなんだけど。

とにかく、作品自体は、SFというより、むしろポリティカル・サスペンスの傑作。今で言うなら、2ちゃんねる的な陰謀論やバカ話を素材にして真面目に仕上げた感じの快作なので、未見の方は公式版でもいいから是非。映画ならではの醍醐味って、こういう作品からこそ味わえるものだと思う。
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