しめじろー

長いお別れのしめじろーのレビュー・感想・評価

長いお別れ(2019年製作の映画)
3.8
認知症になった父を中心とした家族のストーリー。静かなユーモアにあふれた温かみのあるお話で、ザ!邦画って感じです。
主軸はもちろん父の認知症で、その進行の様子や家族の戸惑い等が丁寧に描かれますが、お話の主題は家族のあり方そのもの。父母夫婦の関係はめちゃくちゃ安定してるし、娘2人との親子関係も良好。認知症の悲惨さを必要以上に煽るような描写もありません。それより娘それぞれの家庭や恋愛事情の方がだいぶこじらせており、メインの問題はそっちにあります。娘2人が、父の前で感情を吐露するシーンがありますが、どっちも認知症関係なく、ただ父親を頼って自身の悩みを打ち明けるだけ。斬新じゃないですか?他にも、母がうつ伏せで父と会うシーンだったり、姉夫婦のシーンだったり、印象に残っているのは認知症関係ない場面が多いです。でもそれらのシーン丸ごとで、人が人との間で生きるということ、一生の意味みたいなものを語っていて、それら全てが最後の病床の父に繋がるのでした。こういう認知症映画があるんだな…と感心します。
全体的にコミカルなシーンも多く、姉夫婦がたかし君の担任と面談するところなんて面白すぎましたね。wow…。しかし、実家に両親を残し、いい歳して独身でフラフラしている娘としては身につまされるものがあったのでした…。ずっと最後まで仲のいい家族でありたいですね。