蒼井優を見ていると山里亮太が浮かんでくるし、竹内結子は中村獅童だ。
山崎努はやはり『必殺仕置人』の格好いい念仏の鉄が浮かぶし、松原智恵子は渡哲也が主演した『無頼シリーズ』のヒロインだったころを思い出す。
松原はあの頃とほとんど変わらないチャーミングさを維持しているところが凄いのだが。
それだけ現実のイメージがありながら、この4人は家族として、この2時間のなかで家族の時間を演じている。みな見事だ。
監督は、原作と同じ題名のとおり「長いお別れ」(認知症のこと)の時間を描いた。
それはドラマチックな激変でもなく、じっくりとした別れの時間ではあるが、素敵なこともいくつか起きる別れだ。
だから、激しいエピソードもなく、もちろん爆発も絶叫も出てこないが、しみじみ感動を誘う。
こういう映画もいいものだ。