すいか

長いお別れのすいかのレビュー・感想・評価

長いお別れ(2019年製作の映画)
3.9
「長いお別れ」
ゆっくりと、遠ざかっていなくなる。
とても、しっくりくる表現だと感じた。
でも、こういうお別れは、つらい。
両親は今は元気だけれど、いつか必ずお別れがやってくる。どんな形でやってくるのかはわからないが、もし認知症だったとしたら…どんな気持ちになるのだろう。想像できない。でも、この作品を観ると考えずには、いられない。

認知症になった父と、介護する母、娘2人。娘は独立し、離れて暮らし、違ったライフステージに立っている。そして、それぞれが、悩みや心配事を抱えて生きている。その辺りのエピソードを交えつつ、物語は進む。年月は過ぎ、確実に父の病は進行していく。
とはいえ、介護の大変さや辛さは、それほどヘビーに描かれていないし、認知症の描写も割とさらりとしていた印象だった。むしろ、夫婦や親子の関わりや、家族のあり方って、なんだろう…と、考えながら観る作品だと感じた。
娘にとっては、どんな風になっても父親は父親で、困った時には頼りたくて、甘えたいのだ。
離れて暮らしていても、忘れてしまっていても、集まれば自然と昔のように話して、笑いあえる。素敵な家族だと思った。

山崎努さん、モリのいる場所でも、すごい演技だったけれど、こちらもすごかった。今の彼だからこそできる役柄だし、まだまだ、これからも元気な姿を観たい!松原智恵子さんの柔らかな雰囲気も、ホッとした。
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