事故や病気で若くして死なない限り、人に必ず訪れる「老い」…
世界的ベストセラー「ホモ・デウス」によると過去何万年も人間の三大死因だった「飢餓・伝染病・戦争」はほぼ制圧されつつあり、今や人間の三大死因は「癌・心臓病・老衰」だそうです。
我々はますます「老い」と付き合っていかなければならなくなってる訳です。
監督は「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太!
娘たちに竹内結子と蒼井優!
いったいおいくつになられた?なんて可愛いんだ!松原智恵子!
そして…
35年前…今は亡き伊丹十三監督のデビューにして傑作「お葬式」…
この映画で巨乳喪服の高瀬春奈を葬式中に裏の林でやっちゃった山崎努!
おれの映画におけるエロの概念を変えてしまった名優です(笑)
さてこの面々が作り出した…
「長いお別れ」
面白くないわけない!
感動しないわけがない!
しかし…今のおれにはさらにこの映画が「くる」理由があるのです。
おれもけっこういい歳なんだけど…この歳で「両親が健在です」ってなかなか少なくなってきてる。
いわゆる高齢者…二人で力を合わせて暮らしていたのですが…
三ヶ月前にぴんぴんしてた母が急に倒れて入院しました。
父はパーキンソンで次第に体が動かなくなってきてて網膜の病気と白内障でかなり目が見えなくなってるようでした。
おれは仕事帰りに母の病院に寄り、実家に戻って父の夕食を作って泊まり朝飯を作って仕事に行く毎日…
母はもう三ヶ月こんこんと眠り続けているが、父はへこたれない…
「そのうち起きるさ」
もうほとんど見えない目で昼は一人で昼食を作って食べてる。
男ふたりの味気ない夕食が終わると後片付けを手伝おうとする。
「おれがやるから置いといていいよ」
でもごそごそやってる。
後で冷蔵庫からパチッとラップがかけられた何も入ってない小鉢を見つけたときは一瞬泣きそうになったが「ここは笑うとこだ」と思い直し…
「オヤジ…しょうがねえな~」
と思いながらその中に余り物を入れてまた冷蔵庫にしまった。
まだ…認知じゃないから楽なのかも…
思い出は新しいものから消えていく…
何度も反芻した古い思い出が最後まで残るのだ。
こんな生活の合間にこの「長いお別れ」を観た。
映画好きの母も父も今はこの映画が観れない…
一人で夜中にこの映画を観たおれは目玉が溶けるんじゃないかと思うくらい泣いた…
いや…笑うべきだったのだろう。