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ヲタクに恋は難しいのkoyaのレビュー・感想・評価

ヲタクに恋は難しい(2020年製作の映画)
4.0
原作が漫画の実写化ってすごくたくさんあるのですが、福田雄一監督ものは安心して観られるという所があります。
『HK変態仮面』だって皆さん、怪演技で見ごたえありましたし、原作がギャグ漫画だからこそ、原作ファンの厳しい目があって実写映画化は難しいと思います。

福田監督が、ヲタクな人もヲタクでない人もわかるような、楽しめるような映画にするのは大変だった、と言われています。
思いっきりヲタク寄りにしてしまっても良かったかもしれないけれど、それだったら私は観に行きません。観ても多分わからないと思います。

独特な用語が飛び交う所では、ニコニコ動画のコメントのように字幕にしたり、ミュージカルでもあって、作詞はちゃんと及川眠子さんがいたりしてヲタクやアニメ、ゲームへのリスペクトを忘れていない所がいいと思います。

ヲタクの人たちを「異質な人たち」と描く事もありますが、あのコスプレイヤーとかの情熱って驚くべきものがあって、ただの趣味を超えたものを感じます。だから、社会人として働く一方、私生活では思いっきりコスプレやゲームとバランスがとれる人たちですね。

バランスがとれず、ヲタクを何も知らずにイメージだけで批難、差別するばかりだったり、逆に社会生活が送れないほど極端にのめりこむ......その中道を上手く行く道を知らず知らずのうちに主人公の2人は探っていると思います。

ミュージカルの部分は、主演の山崎賢人さんはスタイルよくて10頭身、なんですが、最初監督に「ダンサーの血が流れていない」と言われてしまったように、一生懸命踊っています......というのが涙ぐましい。
いい男は踊りがつたなくても「可愛い」とか言われて得ですねぇ。

主演の高畑さんは、ギョっとする顔のシーンが多くて、いわゆる変顔になってしまうのですが、表情がくるくる変わってとても可愛らしいです。
会社では腐女子であることをひたすら隠しているのですが、ピンクのスーツに白のハイヒールって......今時そんな恰好して働きに行くOLいるかなぁという漫画感が良かったです。あくまでも「漫画」なんですよ、というメッセージを発信していました。

斎藤工さんは、ダンスをするとき「む、無駄に上手い......」と言われてしまうように『ラ・ラ・ランド』のパロディみたいでいいですね。
口から豆飛ばしながら愚痴わめく所では、聞いている高畑さんが本当に笑いをこらえて真面目顔作っているように見えましたね。

で、一番はまっていたと思うのが、菜々緒さんで、まるで漫画から飛び出してきたようななりきりぶり。かっこいいわ。

私は原作漫画を知らないけれど、この他愛ないようで、情熱あふれる世界、楽しかったです。
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