梅ちゃん

十二人の死にたい子どもたちの梅ちゃんのレビュー・感想・評価

3.3
廃病院に集った12人の自殺志願者たち。皆で安楽死を試みようとするも、身元不明の13人目の死体を発見。調査を進めるうちに『12人の死にたい子どもたち』それぞれのバックボーンが明らかになって行く。

一見、謎解きミステリー風パッケージングで描かれるのは青春群像劇。豪華若手キャスト陣にあって、物語を裏で回す役柄とは言え杉咲花さんはまさに別格でした。また、マッケンの抑えた演技もしっかり病人としての説得力があったように感じます。あんなにムキムキなくせに。

13人目の謎については、終盤で新たな事実が提示されるタイプの作品なので、推理や考察はするだけ無駄。新進気鋭の俳優達の演技合戦を素直に楽しむのが、本作の正しい鑑賞スタイルかと思います。

劇中随所に見られる廃病院の妊婦をモチーフにしたであろうオブジェやポスターは、生命の誕生を連想させる。物語前半においては、死を望む若者達のネガティブな意思を際立たせる効果があり、後半は他者との関わりの中から、新しい価値観を見い出した若者達の再生の象徴として感じられました。