Hiroki

十二人の死にたい子どもたちのHirokiのレビュー・感想・評価

3.5
密室劇の最高傑作『12人の怒れる男』のフレームを下敷きにして、みんなが黒だと言っていたものを最後には白にする。
途中までとてもワクワクして観れたのだが、中盤から終盤にかけて下降線。

なにが問題かと考えると『12人の怒れる男』はある男の評決を決めるという内容なので、そこにあるのは“有罪”か“無罪”か。
罪を犯したと思うか、そう思わないか。
そこに新たな事実や証拠(もしくはみんなにそう思わせるようなもの)が現れれば白と黒はひっくり返る。
しかし今回の場合は“生”か“死”か。
自殺するかしないか。
これが白黒ひっくり返るということは正直なかなかないと思ってしまった。

私の考える自殺の動機は“衝動”か“絶望”か。
前者の場合は黒が白になることもあるかもだろうが、後者の場合はなかなか難しいのではないか。
12人全員がたまたま、偶然にも前者だったのなら何も問題はないのかもしれないが。

あとは最後に杉咲花が主催者の秘密に気づくシーン。
今回のようなことを何度も繰り返してたというオチを作りたかったならその伏線が弱い。
そして杉咲花が“次回も参加する”のではなく“今回が2度目”だったの方がインパクトが強かった。

いろいろな発想はおもしろかったのに、詰めが甘い。もったいない…

2019-61
Hiroki

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