さすらいの用心棒

十二人の死にたい子どもたちのさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

2.9
自殺するために集まった12人の未成年者。しかし、そこには13人目の”死者”がいた─────


SF作家・沖方丁のミステリ小説を『TRICK』の堤幸彦が映画化。

限定された舞台で推理合戦を繰り広げる内容は『十二人の怒れる男』や『12人の優しい日本人』のような傑作を想起させるけど、どうもいまひとつ。

ロジックの積み上げ方は好きだし、二転三転するプロットとか割と好みなんだけど、ストーリーが想定の範囲内に落ち着いたのが非常に惜しい。この結末だったら嫌だな、という結末になってしまった。

いちばん盛り上がるべきラストで探偵役が推理を延々しゃべっているだけの画というのはパンチに欠けるし、「推理」という絶対要素が説明を嫌う映像の性質にも馴染まず、「本格ミステリ」と映画との相性は本来あまり良いものではないはずだけど、そんななかでもミステリ映画が製作されるのはファンとしては歓迎したいところ。ただ、欲を言えば質を伴ってほしい。