しゆ

悪魔はいつもそこにのしゆのレビュー・感想・評価

悪魔はいつもそこに(2020年製作の映画)
4.3
みんな大好きトム・ホランド主演の…なんて呑気なこと言ってられないくらい胸クソ悪い。どいつもこいつも腐ってる。けど終始暗いからスコアを低くつけるっていうのは違うと思うんだよな。
人生に不幸はつきもので、未知の領域だからこそ非科学的なものに頼りたくなる気持ちは分かるけどこれはちょっと…祈りに人生を狂わされた父親たちを持つ義理の兄妹。神ってそんなに偉いのか、祈りってそんなに崇高なものなのかと改めて考えさせられたけど何を信じるも人の自由なわけで、結局人は何かに依存しないと生きていけないとはよく言ったもの。本作は宗教や教会が何度も登場するけど宗教批判というよりかは、人の生来の罪深さとか本当に怖いのは信念で人間は何者にでもなれる浅はかさが伝えたいことのように思う。まさしく『The Devil All The Time (悪魔はいつもそこに)』。これ以上ないタイトルセンス。
劇中全編に渡るナレーションは原作者によるもの。初めて見た手法だけど彼だからこそ重みと深みが増すのであって良いキャスティング。こういう海外の実情や歴史に沿ったテーマ性かつ日本人は無宗教者がほとんどだから宗教に馴染みは薄いけど、自分としては観てよかった。エンディングの余韻が凄く良い。
童顔で純粋なイメージがあるトム・ホランドの喫煙や暴力シーンは新しかったし、同年公開された『テネット』ではナイスガイを演じたロバート・パティンソンのクズな神父役はハマってた。近年波に乗ってる俳優の一人だと思う。そしてもはやウィンター・ソルジャーの面影が全くないでっぷり太ったセバスチャン・スタン(スケジュールの都合で交代したけどもともとクリス・エヴァンスの予定だったらしい。ここにもMCU繋がり)。彼ら豪華俳優陣の役作りにも一見の価値あり。
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