フライ

居眠り磐音のフライのレビュー・感想・評価

居眠り磐音(2019年製作の映画)
3.9
冒頭の明るく希望に満ちた展開から、一気に残酷過ぎる展開へ突き落とすストーリーに、胸糞と、悲しみで心奪われたが、反動もあってか、予想に反して中盤、若干物足りなさを覚えてしまったのは残念だった。だがラストがこれまた悲惨すぎて思わず涙が。

原作は、かなり巻数のある小説に面白いのだろうと興味はあったのだが…映画化されるのを聞いて面白かったら小説にも手を出そうと思っていた本作。
鑑賞後、個人的には続編を期待したくなると言うか、作品内容が続編への伏線としての要素が強い様にも思えたのだが…。

江戸時代中期、今の大分県にあった関前藩の藩士で、江戸勤めをする松坂桃李が演じる坂崎磐音、その幼馴染みの川出慎之輔、小林琴平と共に、名門の佐々木道場にて剣術を鍛錬し、3年の勤めが終わろうとしていた。坂崎磐根は、剣の構えが居眠りをしている様な姿にも関わらず凄腕で、居眠り磐音と一目置かれていた。
勤めの後、琴平の妹で芳根京子が演じる美しい小林奈緒と婚礼を予定していた磐音。真之輔も結婚したばかりで琴平のもう一人の妹、舞との再開に胸を膨らませながら、琴平と一緒に帰国の途に就く。
3人は旧大全の関前藩を変える事を期待され、家族も楽しみに帰国を待っていたのだが、磐音は予想打にしない陰謀と残酷な運命に翻弄される事になるのだが。

本作は言うなれば、坂崎磐根の壮大な物語のプロローグと言うイメージがとても強かった。磐音と言う人物の真っ直ぐな性格と正義感、若干間の抜けた雰囲気と優しく魅力的な人柄に惹き付けられ、そんな彼が背負った悲しすぎる出来事に余計感情移入させられたのだが、途中日本の歴史を知っているからこその違和感があり、続編への期待を持たせる様な伏線としての構成を強く感じてしまった。
終盤、磐音の心の叫びとも思える柄本明が演じる有楽斉に放ったセリフと、ラスト奈緒の余りにも救われない展開に、もう少し救いを与えてくれ!と心から思ってしまった。

序盤の悲劇に釘付けにさせる内容は素晴らしいし、全体的にとてもわかり易くストーリー展開されている上、上手く箸尾っているので、限られた時間の中での見せ方としては飽きずに楽しめたのはとても良かった。もし続編が製作されるなら中盤の物足りなさも、いい伏線やどんでん返しとして見れる気もするので、次作が楽しみに感じたのだが…。

続編製作について調べたらかなり厳しそうなので、とても残念に。キャストも素晴らしいし、ストーリーも好みなので、今後にとても期待したのだが…。やはり小説読むしかないなと。
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