ノラネコの呑んで観るシネマ

居眠り磐音のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

居眠り磐音(2019年製作の映画)
4.4
これは良かった。
由緒正しいザ・ニッポンの時代劇。
原作未読で、予告編の印象からコメディタッチかと思ってたから、初っ端からの超ハードな展開にびっくり。
婚約者の兄を斬るシーンは予告編でもあったけど、松坂桃李があんな悲惨な過去を抱えていたとは。
第一幕が郷里で起こった事件。
ここで主人公の磐音が心に大きな傷を抱え、第二幕以降は江戸が舞台となり、幕府の貨幣改革を巡る陰謀に巻き込まれてゆくのが縦軸。
横軸はずっと会えないままの婚約者との、精神的な関係だ。
出番は少ないが、婚約者の芳根京子がすごくいい!
江戸での話は基本コンゲームなのだが、アクション剣劇としての見せ場もちゃんと複数回あり、勘定方の頭脳を持つ居眠り剣法の達人、磐音のキャラクターが活かされる。
殺陣もかなりの迫力で見応えあり。
特筆すべきは悪の元締め柄本明の大怪演で、これは助演男優賞もの。
面白いのは、昔は腐敗の代名詞だった田沼意次がキレ者の改革者として描かれる時代性。
この人のイメージは、この20年くらいで180度変わったんじゃないかな。
それにしても若者たちの人生が、最初から最後までボタンのかけ違いで、全て変わって行くのが切ない。
こんな良い映画なのに、残念ながら興行的には苦戦しているらしい。
今週末に何を観ようか迷ってる人には是非とも本作を選んでいただきたい。
そんで続編を作ってもらって、あの二人の行く末を見たい。
ブログ記事:
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