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居眠り磐音のsomaddesignのレビュー・感想・評価

居眠り磐音(2019年製作の映画)
3.5
時代劇版『舐めてた相手が殺人マシン』モノかと思いきや。

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坂崎磐音は幼なじみの小林琴平、河井慎之輔とともに3年間の江戸勤番を終え、九州・豊後関前藩に戻った。長年苦楽を共にした3人ではあったが、ある事件をキッカケに磐音は二人の親友を失い、また自身も藩を追われ、流れ着いた江戸の長屋で浪人に身をやつすことになる。昼は鰻割きとして働き、夜は両替商で用心棒稼業を始めた磐音だったが……。

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原作未読。
ていうか調べたシリーズ全51巻+スピンオフて、映画に際して読むの無理っしょ。テレビドラマシリーズもあったそうだけど、全くのノーチェック。そもそもこの映画化って原作ファン向けなのか、新規ファン向けなのか?

タイトルといい、予告編の印象から実は腕の立つ剣豪が訳あってアホのフリしてる「ナーメテーター」ものかと思ったらさにあらず。
冒頭から主人公・磐音の強さが示されちゃってビックリ😲

序盤30分の悲劇を超える物語の起伏がなくて、サラリーマン侍の葛藤、悲恋や、片思いのロマンスといった要素が大したことないように思えてしまった。人の世の理不尽に傷つけられた人達の再生の物語でもあるけど、結局再生できてなくて、どっこい毎日は続いてくから毎日どうにか生きていくってバランスは良かった。

柄本明・柄本佑親子の変則的な共演が見所。
パパ明がもはやコントみたいな超デフォルメされた元祖なにわ金融道守銭奴キャラを演じてるのに対して、ムスコ佑は磐音の親友キンペーを好演! 明るくて豪放磊落キャラなのに、ちゃんと寛大さと思いやりが感じられる青年になってた。ともすれば直情的な脳筋バカになりそうなキャラを、三人組の中心人物にたる深謀遠慮の人として深みが見えた。

男ばかり出てくるチャンバラ作品に華を添える女性陣が美人揃い、ちゅーか似た系統の美人揃いな気がする。オッサンの目には見分けがつかなくて、一瞬誰だか認識するのに手間取っちゃう。これが老いか……。
ヒロイン奈緒(芳根京子)の幸薄で気の強そうな雰囲気、磐音の妹・伊代(南沙良)の幼く無力でいる自分を歯痒く感じてる辿々しさが印象的。
時代が時代なんでしょうがないけど、女性キャラが添え物・トロフィー以上の意味がなくて、ちょっと残念。彼女たちの葛藤や苦悩がもっと描かれてもいいはず。

奥田瑛二の役は元々ピエール瀧が演じてたハズが件の騒動のせいで急遽代役立てて撮り直し。奈緒との年齢差がより広がったおかげで、家老文六のヒヒジジイっぷりが増して好き。(急な代役にも高いクオリティで返せる奥田瑛二の演技力の賜物か)


個人的に、あの大オチは『別れた元カノが今でも自分に未練があるに違いない』みたいな男妄想ぽくてキモい。生きるために強かにとっとと別に人生を切り開いたけど、気にしてくださんなっていう茨の道を行く決意の文言にしておけばいいのに。


52本目