風来坊

居眠り磐音の風来坊のレビュー・感想・評価

居眠り磐音(2019年製作の映画)
3.5
原作は長年続いている人気の時代小説という事ですが、全く知りませんでした…。時代物は北方謙三さんか鳥羽了さんくらいしか読まないもんなぁ…。

あの時代は武士といえば面子が大事だし、あの侍も純情そうだったのでそういう事もあるかと思うが…踏み込んだ時の妻の態度を見れば分かりそうなものですけど…不貞をした妻はあんなに堂々とせんでしょう。
非常に辛い序盤でしたが、掴みとしては惹き込まれましたし、主人公の背景が分かりやすかったですね。

序盤はちょっと重いがそれを過ぎると、能ある鷹は爪を隠す的な王道の設定でサクサク進むし時代劇としては分かりやすいし敷居も低いと思います。
殺陣は「るろうに剣心」のようなトリッキーな物かと思いましたが、至って真面目な殺陣で間合いや距離の保ち方などこだわっていて迫力と緊張感がありました。あと音楽が殺陣を盛り上げていました。

ただ殺陣はカメラワークで誤魔化しているように見えてしまう場面は残念。あと居眠り殺法があまり効果的に見えないのも難点。

黒幕などの謎の回収もされていないので続編ありきなのかなと思います。
しかし、本作は総製作費約50億円、邦画では異例の全国上映326館という熱の入れようでしたが興行成績は約4億円…。後のソフト販売等で収入としては取り返したかも知れませんが、あの大不評な「ニセコイ」や「貞子」に負ける始末…。

なので、続編は微妙なところかも知れませんね…。あっても大幅なテコ入れは必死。ちょっと地味だとは思うけど私も悪くないと思うし、フィルマークスの評価は高い、けれど時代劇がエンタメとして厳しい時代なのかも知れません。

松坂桃李さん演じる磐音の辛い過去を背負いながらも表向きは屈託ないように生きる姿と、それを優しく見守る木村文乃さん演じるおこんが印象的で良かった。柄本明さんの怪演もインパクトが強い。息子さんも出ていますが、まだまだ息子さんより印象に残リました。

シンプルな時代劇でサクッと観れて、個人的にはなかなか楽しめた作品でした。
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