東佳苗

ホットギミック ガールミーツボーイの東佳苗のレビュー・感想・評価

4.4
誰かのものになりたくてそれだけが生き甲斐、生きる価値だと思って恋愛をしていた頃もあったな、大声で叫んでも周りを無視しても恥ずかしくない10代があったな、
確かその頃はじめてリリィシュシュのすべてを見て、見ないように蓋をしてきた鈍色の感情を画面に映された気がして、ある時期まで見れなくなった。
ホットギミックもある意味そういう、共感とは違った、トラウマみたいな記憶を呼び起こされた気持ちになった。
良かった、泣いた、とかではなく、いわゆる青春時代の混沌が、混沌のまま映画になっていた。
だから批評性があると言われるんだろう、主人公の初が、わかんないよ、と繰り返すところ、マジでわかる。わかんないよね、今でも何も、わかんないもんな。
結論を混沌のまま、映画にすることの意味が必ずあって、心の中の決意だけが肯定として残ってゆく、私が、あなたがたった一人の孤独で生きていく決意を託された映画だった。
女の子は主体であり受動ではないことを当たり前に示していて、キラキラ映画の時代は、多分終わっていくんだろうなと思った。
なんとなく令和の始まりを感じた。
東佳苗

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