幻想の永遠なんていらない。そうはっきり言うように、感情の変化を肯定していて、今日は好きでも明日は嫌いかも。っていう自分でも制御できない未知で不安定な今の感情。そのよくわからない一瞬を切り取るのってすごく難しいのに山戸監督は天才か？
なんでこういい意味で開き直った映画が撮れるんだ。
この作品って、かわいいとか男ウケとかそういう言葉の犠牲になってきた女の子たちに向けた映画で、女の子らしさとか、かわいらしさからの解放を山戸監督の世界で写しているところになんだかグッときてしまった。
無機質で常にしらっちゃけた曇り空の豊洲とネオンがキラキラの渋谷とやまない音楽と泉まくら、やっぱり山戸監督には東京を撮っていて欲しい。
誰かから自分の存在価値をもらうことしかできなかった初が最後自分の足で立って自分は自分のものだって言う。もはやこれは恋愛映画ではないって最後の最後に気づいた。
あとなんといっても主演が堀未央奈ちゃんなのも皮肉的で凄く良い。普段アイドルとして消費されて、理想とかかわいらしさをどうしても押し付けられてしまいがちな（これは日本の女性アイドルへの偏見が多少なりともあるかもだけど）女の子がこの役を演じることに説得力と意味があったよね。
公開初日のレイトショーで堀未央奈ちゃんファンに囲まれ観てきたけど、これをファンに見せる山戸監督の発想と思考に鳥肌が立った。
最後の10分くらいになって、つまんねって言いながら出てった男の子2人はきっと自分の理想とかわいいとか女の子らしさを期待して観に来てたんだろうな。
きっと山戸監督が撮りたいものを撮ってるから好き嫌いははっきり分かれそうだし嫌いな人の方が多そうだけど、
こういう青春映画が増えていってほしいってそう思わざるを得ない作品だった。
きっと2回目観るときはまた違う感情を持つだろうしそうであってほしい。
ただ、ココアのシーンと梓とのイチャイチャシーンだけは崖から落とされたような衝撃と乾いた笑いが出た。従来の青春映画への皮肉か
