Kazu

リンドグレーンのKazuのネタバレレビュー・内容・結末

リンドグレーン(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりに映画鑑賞🎬

1907年スウェーデンのスモーランド地方で生まれたアストリッド

のちに「やかまし村の子どもたち」「長くつ下のピッピ」を世に生み出す児童文学作家

美しいスウェーデン、デンマークの景色、
が素晴らしい。
窓際で外を眺める横顔がとても印象的。
シーンの中で幾度と出てくる、
半分は光に照らされ、半分は影で真っ暗な


邦題が『リンドグレーン』となってます
が、リンドグレーンになる前の16歳からの10年間にスポットを当てた作品です。


家族は教会の敷地内にある農場で暮らし、信仰心の強い両親の元で厳しく育ったアストリッド。

思春期を迎えた頃には宗教への不信感、ジェンダーロールへ疑問を持つ自立心の強い女の子に成長しています。

10代で未婚の母として隣国デンマークで出産し、養母に子どもを預けていた3年間、息子に会うために夜行列車でコペンハーゲンまで通う生活をしていたなんて全く知らなかった。

産後すぐに息子と離れ離れに、授乳すら許されず、搾乳すると母乳がどんどん出るからと胸をぐるぐる巻に圧迫するシーンには号泣してしまった。

今でも列車で5〜6時間もかかる道のりを100年前に息子に会いたい、その気持ちだけで1人通った彼女を思うと胸が苦しくて涙が止まらなかった。

19歳で望まぬ妊娠をしたアストリッド、迷う事なく産む決意をし、誰にも悟られず孤独な産前産後を人生の早い段階で経験をする事になる。

このたった10年ほどの出来事の中に、
彼女が感じた底知れない孤独、愛、
そして子どもの気持ちに限りなく寄り添い、子供が感じる無力感、寂しさなど、様々な思いを大切にしていた事がうかがい知れます。

そしてそれらが、彼女の多くの作品にも投影されていることを改めて感じる。

また、女性としての生き方がまだとても制限されていた時代に、自分の心に忠実に生きることを実践していた、強い意志をもった女性としてのアストリッドの側面も多く表れていて、100年近く前の出来事とはいえ、彼女の生き方にとても共感した。

人は誰でも違う側面があり、全て良い人、幸せな人などおらず、
全て悪い人、不幸ばかりの人もおりません。

長い人生の中で、アストリッドは大人と子供の境目で一生で一番辛い時期を経験するのです。

その後、彼女には新しい人生が待ち受けていた、

それは彼女が経験した子供への深い愛情と大人や社会の目に振り回されない強い意志の現れが、童話として描かれ子供達の心を捉えたのでは無いでしょうか?


アストリッドを演じたアルバ・アウグストが素晴らしかった。
この作品は彼女を観るために選んだ作品とも言える。
大好きな監督ビレ・アウグスト、ペルニラ・アウグストを両親にもつ遺伝子、今後も注目したい女優さんのひとりです。
Kazu

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