ギャス

リンドグレーンのギャスのレビュー・感想・評価

リンドグレーン(2018年製作の映画)
3.3
原題はアストリッド。リンドグレーンではなく。
そこが肝心なのだが、内容と反するようなタイトルが邦題になってしまっていて残念。

昨今自由で強い女の子が主人公であることが話題の児童文学の名作「長靴下のピッピ」。愛読書だったので、その作者がどのような人物だったのかには興味があった。

元々あった力強い情熱、女性として生きる抑圧や子どもに対する愛情、独立心など物語の背景となるような彼女の半生が描かれていたが、あの長靴下のピッピの明るさはあまり感じられなかったのが意外だった。

ネタバレ
リンドグレーンは結婚後の姓であり、この映画の中で今後の良き伴侶として相手は登場はするが結婚は描かれないため、邦題はほとんど意味がない。
女性を軽視する傾向のある相手との結婚を、彼との子どもがいながらも拒否したことは重要なエピソードのひとつとして描かれており、彼女が自分自身であることに意味があるはずのアストリッドという原題はやはり尊重すべきだったのではないか。
少しでも知名度のある姓の方を使いたい気持ちはわからなくはないが、やはりそこにこだわりが欲しかった。

あの溢れるような情熱は、実は抑圧を強要するような母親ゆずりだったのかも、と思えたのは、教会に行く際私生児である孫をがっしり抱えて胸を張って家族の先頭を行く彼女をラストに見た時だった。
親と和解ののち、更に幸せな結婚もしたのだなと思うと、その後のピッピの自由で明るい物語にも納得が。