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リンドグレーンのshimaのネタバレレビュー・内容・結末

リンドグレーン(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

陽気で元気、強気な女の子ピッピの生みの親アストリッド・リンドグレーン、その半生の半生、少女時代から結婚前までの約10年間を描いた作品。

今まで見たいくつかの写真やたくさんの作品のイメージから破天荒で元気、というイメージがありましたが、、この作品で描かれているのは、彼女の人生でもっともつらい時期。小さい頃から自由奔放な性格、想像の翼はいつも果てしなく広がり、エネルギーのやり場に困り、、小さい町の敬虔なクリスチャンの家庭の中ではちょっと困ったちゃんのアストリッド。

文才を認められ、町の新聞社での仕事が決まり、そこからアストリッドの運命が動き始めます。

世界が認める作家となった結果を知っているので、冷静に見ていられますが、10代から20代という時期に経験するにはあまりにも厳しい現実に、胸が苦しくなりました。

リンドグレーン作品の力強さ、奔放さ、豊かな発想力、すべては彼女の本質であり、どんなにつらい経験もその源泉となる彼女の心の深淵なるものまでは変えることができなかった、ということが、大きな救いです。その持って生まれた内なるものに加え、この辛すぎる経験、息子ラッセの存在は、元気だけではない繊細で壊れやすい子どもの心を誰よりも代弁することにつながったのかも。

映画は、リンドグレーンが作家になる前のおはなし。その先の豊かな人生を予測させるラスト近くのシーンで、誰もがホッと胸を撫で下ろすのではないでしょうか。

彼女がその翼を自由に広げ、才能を存分に発揮し、たくさんの作品が生まれるのは、映画の先のおはなし。
リンドグレーンさんにありがとう、と言いたいです。

主演のアルバ・アウグストは体当たりの圧巻の演技。2時間の間に思春期の顔から大人の女性に、顔つき、仕草、が変わっていきました。息子ラッセの子役も可愛すぎました。
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