しちれゆ

リンドグレーンのしちれゆのレビュー・感想・評価

リンドグレーン(2018年製作の映画)
4.2
将来 作家リンドグレーンとなる16歳のアストリッドは小さな新聞社に雇われる。自分が一人前になったような気がして有頂天になりお下げの髪をフラッパーにして編集長ブロムベルイを積極的に誘う。
ひっそりと産んだ赤ん坊を里親に預け街に帰る彼女は断乳のため胸にきつく布をまくけれど 溢れ出し衣服を濡らす乳。そして2歳半になった我が子ラッセにとって大好きな″ママ″は里親マリーだった。
切望していたラッセとの暮らしは寒く貧しくトイレは中庭、風呂は外の共同浴場。壁紙の黒いちごを食べる真似をするアストリッドと少しずつ心を開くラッセ、小さなベッドで寝ていたラッセがある晩「そっちに行っていい?」とアストリッドのベッドに入ってくるところ 感動でした。
ブロムベルイはアストリッドに誘われた時一度は踏みとどまり「家に帰れ」と言う。若くなくても恋の始まりは不器用で、結婚を約束し生まれた赤ん坊に会いに行く誠実さもある。アストリッドにふられた時「僕の何が悪かった?年齢か?」と問う。彼女はブロムベルイが今まで見てきた女たちとは大きく違っていて、彼がアストリッドの苦しみを理解出来なかったのはこの時代の男性の限界でもあった。庇護され愛される者だった少女が守るべきものを得て力強く人生に踏み出していく物語に胸が熱くなります。
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