純

リンドグレーンの純のレビュー・感想・評価

リンドグレーン(2018年製作の映画)
3.9
長閑で愛しいきらめきいっぱいの「長くつ下のピッピ」「ロッタちゃん」「やかまし村の子どもたち」を描いたアストリッド・リンドグレーン。

無邪気さを失わず、それでいて哀しみを静かに背負って生きる凛としたひとだった。自由なショートヘアがとても軽やかで。

彼女の本に出てくる子どもたちに勇気づけられて、「おなかがすいても さみしくても たたかいつづけます」ってメッセージを贈った小さな子、よかったな。声だけの演出で泣いちゃった。

不自由を胸いっぱいに吸った彼女はどうやってその空気を浄化したのだろう。責任を背負わなければいけなかったアストリッドは、大人になることと向き合いながら、息子と、自分の少女のままの心をつなぎ合わせたのだろうか。

あんなに明るくて、気持ちのいい匂いのする場所へ連れて行ってくれる物語なのだから、きっと本の中の風景は全部ほんものだ。

アストリッドはリンドグレーンになって、どの不自由を手放して、どんな自由にほれぼれしたんだろう。
純