りょう

プライベート・ウォーのりょうのレビュー・感想・評価

プライベート・ウォー(2018年製作の映画)
4.2
 ロザムンド・パイクが出演する作品は、「ゴーン・ガール」「パーフェクト・ケア」しか観ていませんが、どちらも極端な性悪女だったので、ここまで正義感に溢れた実在の人物(ただし頑固な曲者)を演じていて、かなりのイメージ・アップでした。
 メリー・コルヴィンの11年間の活動を描いた作品ですが、こんな個性的な風貌で、しかも女性の戦場ジャーナリストだったのに、彼女の記事も2012年の殉職の報道もまるで記憶がありません。いかに海外の局地的な紛争に無関心であるのか自覚させられ、とても反省しています。実際の記事そのものの描写がないので、彼女がジャーナリストとして称賛されていることに直結しませんが、この作品で描かれる彼女の言動だけでそれが理解できるようになっています。かなり無茶で周囲にも迷惑をかけている(命を危険にさらしている)ことは賛否あると思いますが…。
 スリランカ、イラク、アフガニスタン、リビア、シリアが戦場の舞台です。映画のロケ地がどこなのかわかりませんが、それぞれのロケーションのリアリティが徹底的に追求されています。兵士よりも現地の市民などがクローズアップされているのでなおさらです。大規模な戦闘シーンがなくても、ジャーナリストたちが戦火をくぐり抜ける描写の臨場感がハンパありません。ロケット弾の砲撃が目前に着弾している建物で記事を仕上げていたりとか…。
 冒頭とエンディングでメリーが教訓めいたことを語っていますが、なんとエンディングは本人の音声でした。彼女を演じたロザムンド・パイクのセリフと区別できないほどで、かなり意図的な演出に鳥肌がたちました。最近までこの作品の存在すら認識していませんでしたが、かなり過小評価されている印象です。
りょう

りょう