MasaichiYaguchi

パリ、嘘つきな恋のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

パリ、嘘つきな恋(2018年製作の映画)
3.7
恋に嘘はつきものとはいえ、本作の主人公ジョスランのように引っ込みがつかない「大嘘」をついて自分で自分の首を絞めるような事態になったら大変だ。
ハンサムで裕福なジョスランは50歳になったからといって落ち着く訳でもなく、美人を見付けるとナンパを繰り返す軽薄なプレイボーイ。
そんな彼が、母親の死を切っ掛けに“ナイスバディのお姉さん”ジュリーと知り合ったことにより“運命的な女性”と巡り会う。
この女性はジュリーの姉のフロランスで、車椅子生活を送る美人バイオリニスト。
ジョスランはフロランスの気を引く為に同じ障害者と偽ってしまうのだが、車椅子テニスをプレイする活発で明るい、前向きな彼女に惹かれれば惹かれる程に、この“嘘”が枷となっていく。
嘘と真実、健常者と身障者、男と女、上司と部下、本作にはこれらの間に“壁”が横たわっているのだが、“嘘”を通してこの“壁”と向き合っていく中で主人公が人間的に変わっていく。
先日、私は車椅子バスケットボール大会の応援に行ったが、僅か半日の出来事だったとはいえ、行く前と行った後では車椅子バスケットボールに対する印象はまるで違う。
ジョスランがフロランスと接していく中で見出だしたもの。
そして逆にフロランスが“偽り”のジョスランの中に見出だしたもの。
果たして2人にとって「嘘から出たまこと」とは何だったのか?
フランス映画らしいエスプリとお洒落に彩られた大人のラブストーリーは、ジョスランが日課とするマラソンのように紆余曲折するが、それでもラストに待ち受けているものが何とも言えない余韻を残します。