森崎

マシュー・ボーン IN CINEMA シンデレラの森崎のレビュー・感想・評価

3.5
「マシュー・ボーン演出作は凄いらしい」
先日バレエ観賞デビューをしまして。観たのはキエフバレエの白鳥の湖、おお凄い、身体の使い方が羽根のようで美しい!と言葉の無い世界に戸惑いながらもその迫力に圧倒されて演目について調べていたときに目にしたのが冒頭の評判。オールメールで表現する白鳥の湖、これは観たい、マシュー・ボーン作品に早く触れてみたいと思っていたところ、今年2018年10月に日本で公演されたこの作品が上映されることを知って映画館へ。

綺麗だった。やっぱり。
バレエだけれどミュージカルやストレートプレイのような雰囲気もあり、優雅で柔らかというよりは糊の効いた布のようにぴしっと洗練された動きが気持ちいい。シンデレラというよく知られた物語を下敷きにしたこととダンサーのキャラ立ちがしっかりしていたのもあってただの踊りの羅列ではなく演劇に近くて親しみやすかった。
反面、だからこそここに言葉があればどんなにいいだろうとむずむずすることも。とはいえ“言葉を出さない”という表現においては喜びや楽しさというものよりも、戸惑いや怒りや衝動が更なる威力を見せることを発見できたことは収穫。そしてそれを傍観するだけだったもどかしさからの解放はなかなか味わえない気持ちよさ。


バレエ、凄いなあ。コーラスラインの冒頭でバレエの心得の無い受験者が問答無用で落とされていくシーンにそこまでしなくても…と思っていたけど、バレエダンサーの身体表現のみで芝居をし世界を構築する技術は想像以上。この作品で裸足で踊っていたように、トゥシューズを履いて踊るだけがバレエじゃない。
個人的に舞台の上の世界には言葉を求める比重が高い方だけど、身体表現の力をたっぷりと堪能できて面白かった。一瞬寝落ちしたのは反省して次に繋げます。
森崎

森崎