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ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREYのmaverickのレビュー・感想・評価

3.9
『スーサイド・スクワッド』に登場した、マーゴット・ロビー演じるキャラクター、ハーレイ・クインを主人公とした作品。
DCエクステンデッド・ユニバースでは8作目の作品になる。

マーゴット・ロビーのハーレイ・クインが好きで、単独映画化が決まった時は単純に嬉しかった。『ワンダーウーマン』のヒットにあやかり、女性をメインに据えるという昨今の流れに乗った企画ではあるが、これだけインパクトのあるキャラクターを『スーサイド・スクワッド』の一本だけで終わらせるのはもったいないだろう。彼女自身のぶっ飛んだキャラクターと、たくましく生きる女性を描いた物語として、唯一無二の魅力を放つ作品がここに生まれた。

観終えて、スカッとする作品である。どんな絶望的な状況に陥ろうとも、それを引きずらずに突き進む前向きなハーレイ・クインに元気をもらえる。楽観的でスーパーポジティブ。結構メンタル弱くてめそめそしちゃう部分もあるんだけど、切り替えが早いんだよね。病みがちな現代社会において、彼女のこうした性格は見習うべきところだと思う。元彼のジョーカーが彼女よりも格上のカリスマとして作中でも描かれているが、陰湿なジョーカーよりもハーレイの方がより人間らしくて多くの人が共感を抱きやすいキャラ。自分もハーレイの方が好きだなぁ。

DC映画はマーベルのMCUといつも比べられてしまうが、それを抜かしても本作は少々粗さが目立った。最後はスカッとしたんだけど、前半が退屈で。ハーレイ・クインらしさを活かそうとした作風なのは伝わるのだが、一つ一つのシーンが軽くて引き込まれない。おふざけキャラを前面に押し出しているんだけど、ギャグもなんか滑ってる感があり。『デッドプール』とよく似た作風なんだけど、あっちの方が質が高い。コメディ路線でありながら引き締める部分はしっかり締める所や、アクションのスタイリッシュさ、ギャグのキレなど、比較すると両者の出来の違いがよく分かる。またDC映画がやらかしちゃったなぁというのが途中までの印象だったのだが、中盤以降は話の道筋も見えてどんどん面白くなっていった。悪党から追われる少女をハーレイが保護し、いわくつきの女性チームを結成する流れは良く出来ていた。前半部分は話の中身が軽薄で何も響かなかったが、後半は違う。幼い少女が悪事に手を染めなければならない事情や、ハーレイの孤独さが浮き彫りになる部分で引き込まれる。そこからの、力で押さえつけられて苦しんでいた女性たちの心の開放を描く部分へと持っていく。これは何も女性が権力を主張しているということではなく、力で押さえつけられて苦しんでいる全ての人に対するメッセージである。男が悪者、女よ立ち上がれという作品では決してない。

『スーサイド・スクワッド』では負け犬の悪党集団のチームの話だったが、本作ではそれがハーレイ・クインを中心とした女性のチームになっているのが面白かった。ハーレイの個性はもちろん、他の女性キャラも個性が際立っていて非常に魅力的。自分はハントレスが好きだな。クールな暗殺者なのに、意外と天然のギャップ萌えがかわいい(笑)。この個性的な集団を上手く活かした見せ方も良かった。バット、ローラースケートというハーレイのキャラ立ちや、遊園地跡でのアトラクションを使ったバトルシーンとか。あと色づかいも鮮やかで、そういう部分が本作の大きな魅力。やっぱり唯一無二の作品性。嫌いじゃないな。ゴッサムシティやDCエクステンデッド・ユニバースの関連したネタも散りばめられていて、そこも楽しめた。

さらに続編作ってもいいんじゃない?
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