ニシカ

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREYのニシカのレビュー・感想・評価

3.6

「心理学では復讐では心は晴れないって」
(余談ですが、次にアップする作品でこの言葉が頭をよぎったなぁ)
 
 
"DCエクステンデッド・ユニバース"シリーズ8作目の登場となりましたね。マーベルのようなクロスオーバー感を匂わせる演出は無く、ヒーロー(ダーティー含め)単作感が「アクアマン 」、「シャザム」に続いて相変わらず強いので、この路線で突っ走るのでしょう。(ホアキンジョーカーは現時点ではDCEUシリーズには含まれない単発企画作品です)
 
 

マーゴット・ロビーの見事な躍動。
 
鬱屈な気分を飛び蹴りで蹴散らかすようなキレはなくとも映えるアクションの連発。
しかし、「ジョンウィック」アクションチームの協力によるドタバタ展開でブレイクスルーしきれないDC的脚本を緩急付けた視覚効果でカバーするファインプレーに作品が助けられ過ぎかな、。
 
 

アメコミは見た目を含めたキャラクター感が命。
 
ユアン・マクレガー演じるローマン・シオニスがラストバトルを前にマスクを被りブラックマスクとなるのは良いんだけど、ハーレイ・クイン以外のキャラ造形に映画化にあたってはもう少し原作アメコミを意識した上で足し算があっても良かったと思うなぁ…。
 
 

ポップでガーリーに弾けるスクリーン作りがなぜか中弛みしちゃう、、。
 
ストーリー前半でBIRDS OF PREYチームとなる仲間達のキャラクター背景の紹介を兼ねて時系列がシャッフルしながら進むのは、観る者を飽きさせない演出として楽しめたのですが、後半にそのシャッフルによる伏線が絡めば仕掛けとしてラストに向かいブースト的にテンションが高まるところ特に後半で効果的な伏線があったわけでなない(自分が気が付けていない場合もあり(汗)ことを考えるとややシャッフルが激しすぎで惜しい、、。

序盤のヤマ場・警察所内に乗り込んで、ショットガンを手にゴム弾、カラフル弾を使いながら狭い場所でのアクションで魅せる、
終盤のヤマ場・桟橋からの夜の市街戦へとバイクにローラースケートを絡めたカーチェイスで横に広く流れるアクションで魅せる、
中盤のヤマ場・遊園地でのバトルは、ここで高低を活かしたアクションが出る為に用意されたステージと思いきや、滑り台で階下に降りるソフトな演出、、
その後のワチャワチャなアクションは、なんか派手さに欠ける地味なバトルだったのが残念でした。だって風雲たけし城のセットみたいな中で戦うんですが、緊迫感・緊張感もどちらも無く中弛みしてしまい非常にもったいない、、、。(ただ男女の腕力の違いをバトルステージを巧みに使うことで優っていくアイディアはたくさん詰まってるんだよなぁ)
 
とはいえ、前作を観ていなくても楽しめるようにオープニングをアニメで展開し、誰でも楽しめるようにストーリングの導線を引いたのは素晴らしい演出でした。
(アメコミの実写化をアニメで語るというね)



・意思あるやりたい放題がカタチになってるなら最高なのかも⁉︎

本作はマーゴット・ロビーが自ら会社を立ち上げて、プロデューサーとなり監督を中国系アメリカ人キャシー・ヤン、脚本を「バンブルビー」クリスティーナ・ハドソンなど、製作サイドも多くの女性達でスクラムを組みながら生み出されており、この世界規模でのブロックバスタームービーが作り手の意思と楽しさ詰まっているなら、価値ある1作ですよね。


でも高学歴、容姿端麗、身体能力抜群のオールマイティがDCのメイン女性像になってきてるような、。
ニシカ

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