黄推しバナナ

TOKYO FIST 東京フィストの黄推しバナナのレビュー・感想・評価

TOKYO FIST 東京フィスト(1995年製作の映画)
4.0
海獣シアター PRESENTS

塚本晋也 FILM

無機質な建物
無機質な人々たち
ストレスのたまる現代社会
気温の上昇
冷え切った家庭
隠れる狂気
生と死
奪い合い
暴発しそうな憎悪
戦争
破壊
混沌

87分間関連映像で繰り返す。

これは間違ってもボクシング映画ではないです。ボクシングの作品が見たい人は他の映画をオススメします。

【ボクシング映画オススメ】
チャンプ
ロッキー
クリード チャンプを継ぐ男
リベンジ・マッチ
レイジング・ブル
ミリオンダラー・ベイビー
ALL アリ
アンダードッグ
どついたるねん

塚本晋也監督は人と人は何故戦う、何の為に戦う、人と人の戦いの根源にある「バイオレンス」を映像で表したかったのだと思う。
※塚本晋也監督は「人と人の○○の根源」をとことん追求する監督なので他の作品もオススメです。

人と人の戦い方の歴史の根源を追求していくと、

核兵器vs核兵器

戦闘機vs戦闘機

攻撃機vs攻撃機

銃器vs銃器

刀剣vs刀剣

鈍器vs鈍器

尖頭器vs尖頭器

石器vs石器

拳闘vs拳闘

映画のテーマに合う物を探して辿り着いたのが古代ボクシング(人と人の戦いの歴史)だったのだと解釈しています。

もう一度言いますルールの有る「現代ボクシング」ではありません。

ボクシングの歴史は古く、紀元前4000年ごろの古代エジプト、クレタ島の紀元前3000年ごろのエーゲ文明の遺跡からもボクシングの図が書かれた壺が発見されている。
古代ギリシアのオリンピア地方で第23回大会オリンピックから正式種目となる。この時代は全裸でオリーブ・オイルを塗り、拳には鋲を皮のバンデージのような物で包んだグローブのような物を着用、腕や肘でも攻撃できラウンドタイムはなかった。どちらかが戦闘不能やギブアップ(右手の人差し指を天に突き上げるとギブアップ)で勝負がつく。
ローマ時代に入って奴隷同士が鉄の鋲を打ち込んだ武器のカエストゥスを拳に着けてコロッセウムなどで見せ物として行われるようになり、観客を喜ばせるためにどちらかが死ぬまで戦わせた。時には床に描かれた円の中で戦わせることもあった。これが現在のリングの語源となっている。しかし西暦393年に残忍すぎたため禁止となり、476年に西ローマ帝国が滅びると共に姿を消した。
ローマで再びボクシングが盛んになるのは17世紀後半になってから現在に至る。

「どちらかが死ぬまで戦う」
その先に待ち受けるものは…
それが「東京フィスト」のテーマ
だと私は思う。

男は痛みと破壊の恐怖に慄く
女は痛みと破壊の皆楽に溺れる

①鑑賞年齢20代(学生)
②心に余裕鑑賞なし
③思い出補正なし
④記憶明確
黄推しバナナ

黄推しバナナ