こたつむり

LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯てのこたつむりのレビュー・感想・評価

3.8
♪ 老いも若きも熱くなる四角い部屋で
  いろんな恋に火がついて燃え尽きる

ラブホテル一室に限定された密室劇。
正直言って大好きなジャンルです。
こういう系統は“脚本”が命ですからね。
「右や左の旦那様」と言わんばかりに振り回されるのを覚悟で臨めるのです。

で、結論から申しますと…ぶっちゃけ敢闘賞。
鑑賞中に抱く“不満”はキッチリと回収されますし“感情”のフォローもあるので、脚本は丁寧なのです。特に着地点を踏まえてのエンドロールはキラキラしているのに苦いんですよ。巧みですね。

ただねえ。熟成されていないんですよねえ。
例えば“シャンパン”にしても、最初から用意しておいた方がスマート。冷蔵庫を開ける場面が何回かあるので発展させることも出来ますし、こういう系統で大切なのは“不自然な点”をつぶすことだと実感しました。

でも、それをフォローしているのが配役。
何よりも三上博史さんは圧巻ですね。
トレンディドラマ出身とは思えない幅広さです。見事でした。

あと、三浦萌さんもデリヘル嬢にピッタリ。
短いスカートから覗く眩しい太腿が“いやらしさ”抜群です(たゆん、としているのです)。恥じらいを感じさせない姿も女性の本質を突いていた気がします。

ただねえ。生々しさが足りないんですよねえ。
R-15指定作品ですが、ここは思い切って“18歳未満おことわり”にしてドロッドロのグチョッグチョの汁気を表現したほうが面白かったと思うのですよ。やはりパンツは脱がないと。そして、それを履く姿で哀愁を漂わせないと。ねえ。

ちなみに仕上げた宅間孝行監督は舞台出身。
なるほど。映画ではなく演劇として捉えたほうが良いのかも。さすがに舞台でパンツは脱げないですからね(←しつこい)。

まあ、そんなわけで。
違いの判る大人限定(15歳以上)の密室劇。
サスペンス要素もありますが、基本的にはコメディだと思うので、生温い視点での鑑賞をオススメします。かなりブラックですけどね…。
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