MasaichiYaguchi

コンフィデンスマンJP ロマンス編のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.8
フジテレビの「月9」ドラマを香港を舞台にスケールアップして映画化した本作では、「愛のままならなさ」をテーマにコンゲームが二転三転し、騙し騙されながら最後に誰が笑うのか迄をスリリングでトリッキーなストーリーで描いていく。
「ロマンス編」という副題の付いた本作の幕開けでオスカー・ワイルドの
“When one is in love, one always begins by deceiving one's self, and one always ends by deceiving others. That is what the world calls a romance.”
というのが出てくるが、この含蓄ある言葉は映画の本質を捉えているように感じられる。
新たな美味しそうな“お魚ちゃん”を探していたダー子は、ある切っ掛けで香港マフィアの女帝ラン・リウの存在を知り、ボクちゃん、リチャード、五十嵐といういつものメンバーに、見習い新人のモナコを加え、勇躍現地に乗り込んでいく。
あの手この手でターゲットにアプローチするダー子たちであったが、彼女が過去に因縁のあるジェシーという詐欺師や、彼らに遺恨を持つ男も関わってきて、混迷を深めていく。
果たして混迷を抜け出して最後に笑うのは誰なのか?
随所に笑いを織り交ぜながら“衝撃”の展開が待ち受ける終盤に向かって突き進む本作は、主演の長澤まさみさんをはじめとしたキャストの魅力もさることながら、コンゲームの醍醐味を楽しませてくれる。
“The very essence of romance is uncertainty.“
“If you want to tell people the truth, make them laugh, otherwise they'll kill you.”
私は本作の結末に、上記のオスカー・ワイルドの別の二つの言葉を感じてしまう。
エンドロール後には思わぬ“サプライズ”がありますので離席しないことをお薦めします。