回想シーンでご飯3杯いける

アマンダと僕の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

アマンダと僕(2018年製作の映画)
4.0
2018年の映画なのに、映像は'70年代っぽいアナログな質感。「僕」と幼い子供の交流を軸に描いている事もあって「クレイマー、クレイマー」を思い出してしまう。そんな感じの上質な会話劇。

便利屋業として働く青年ダヴィッド=僕だったが、姉が不慮の事故により急逝し、姪のアマンダと生活を始める。姉の命が無差別殺人テロによって奪われるというストーリーに驚いたが、フランスでは実際にテロ事件も起きており、国民に大きな傷を残しているのかもしれないと感じた。

しかし、全体的には悲劇的なテイストは抑え目で、母の死を完全に理解できないアマンダの幼さもあって、優しいトーンで彩られている。周囲の人物も含めた、ちょっとした会話の中からにじみ出る感情の描き方がとても秀逸だ。ダヴィッドを囲む2人の女性(姉と恋人)が、共にとてもセクシーだったのも印象的で、肉感的な描写は命の証明とでも言えそう。

淡々とした展開から突然訪れるクライマックス(ウィンブルドンのシーン)は、伏線の回収も見事で、良い映画を観たと心から思えた。