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ブラ! ブラ! ブラ! 胸いっぱいの愛を/ブラ物語のmemoのレビュー・感想・評価

4.3
定年退職を控える鉄道運転手の主人公の男性が、ある日、自分の運転した列車に引っかかっていたブラジャーの持ち主を探すという『シンデレラ』のような物語。映像はノスタルジックで、柔らかく温かい色彩に溢れていて、セリフはなくゆったり静かに進んでいく。架空の国の出来事のようでどこか掴みどころがないんだけど、登場人物のキャラクターも日常の風景もみんないきいきとしている。ちょっぴり不思議で、とても愛おしいファンタジーだった。

線路を跨るようにかけられている洗濯物、それを慌てて取り込む女性たち、線路の上にテーブルと椅子を持ち寄っている男性たち、毎日鉄道が来るたび笛を吹きながら線路を走って人々に知らせる孤児の少年。まず、この日常の様子を見てるだけでも楽しくて心が躍る。おじさんがブラジャーの持ち主を探して一つ一つの家を訪れたときの女性たちの態度が様々で面白い。色んなことに巻き込まれるけど、追い返されたり白い目で見られたり時には女性の夫に見つかって散々な目にあったりしてもめげず、そこまでするのか、と突っ込みたくなったり。下着屋さんとして自転車に見本をぶら下げて家を訪問し始めるのも、女性たちが下着を売りにきたおじさんに拒否感ないのとかも、ふふってなった。笑いの温度もちょうどいい。独り身のおじさんと孤児の男の子が二人で歩く姿に温かい気持ちになる。終わり方がとてもよかった。
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