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ブラ! ブラ! ブラ! 胸いっぱいの愛を/ブラ物語のnagashingのレビュー・感想・評価

3.5
キャストもロケーションも反則。ミキ・マノイロヴィッチとドニ・ラヴァンが同居する画面のクロスオーバー感もヤバいし、出番の少なさと役の重要性の落差を容易に埋めるチュルパンの元ヒロイン的説得力もズルい。朗らかなエロスや、民家の間隙を縫う鉄道の公的領域と私的領域の混乱した牧歌性がイジー・メンツェルを彷彿。間のとりかたと表情の妙味はカウリスマキっぽい趣。くすんだ風景とあざやかな衣装が成す不調和ギリギリの色彩センスもすごい。台詞を排したからこその雄弁さと豊かさは、3Dやら4DXやらの情報付加とは真逆のベクトルで、映画体験の固有性を劇場への最適化に求めようとする流れに対して、ファイト・ヘルマーは明快かつ正統なオルタナティブを提示しているようにも見える。
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