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ジェミニマンのがとのレビュー・感想・評価

ジェミニマン(2019年製作の映画)
3.5
ウィル・スミスがウィル・スミスと戦うお話。
中身としては、スナイパーとして無類の才能を持つヘンリーが暗殺業を引退することに危機感を感じたボスのヴァリスが、ヘンリーを殺すためにヘンリーのクローンを送り込む…という感じです。
本作は自分のクローンが自分を殺しに来るという、売り文句を一見すると恐怖でしかない感じですが中身はそんなこともなく、オリジナルがクローンを助けるために、そしてクローンもそれに応じ協力するという展開です。
クローン同士が互いに共有している悩みや不安を語り合うのは、『スパイダーバース』でスパイダーマン同士がそれぞれの孤独や悩みを話したりしていましたが、それに近い感じなんでしょうかね。個人的にそういうのは好きですよ。
しかし、例えクローンだとしても、それまでの生き方や生活環境などで個性は変わると思いますが如何でしょうか。
特にスナイプは指先の力の加減などの個人の感覚が最重要になるので、クローンにもその感覚を芽生えさせないと同じことはできないってフェイトちゃんやプレシアさんが言ってた。
そのことから、ジュニアがヘンリーと同じくスナイパーに目覚めるのもどうかと思う上に、今の生活に不安を抱いているという内面まで同じな設定は疑問に感じるし、説得にやすやすと応じるのもご都合主義な感じがします。
ただ、クローンといえど人権がある、人体改造して戦闘マシーンにしようなどと言語道断だ!!というのには大賛成です。
仮に私のクローンが沢山作られて戦場で代わりに戦ったとしても、彼らには彼らの人生があるのだからそれを奪っているのには変わりないし、そもそも個人的に自分がその辺じゅうに死にまくってる状況を見るのが嫌です。
クローンの人権などの問題は近い未来訪れるであろうことだと思うので、それに先駆けて問題提議する本作は観ておいて損はないと思います。
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