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テルアビブ・オン・ファイアのlpのレビュー・感想・評価

4.3
東京国際映画祭にて鑑賞。

コンペ6本目はイスラエルの『テルアビブ・オン・ファイア』。特集上映を組むなど、イスラエル映画の招聘に力を入れた今年の東京国際映画祭の中で、コンペに進出されたのが今作。中東情勢を題材にしたコメディというテーマに惹かれての鑑賞。期待を上回る傑作コメディだった!

背景に複雑なイスラエル・パレスチナ情勢を配しながら、あくまで映画はコメディとして、高視聴率ドラマの脚本を書く主人公と検問所の軍人との交流から生じた騒動を鮮やかに描く。
コメディとして笑って楽しめる一方で、立場の異なる2人の男の交流譚や主人公の成長物語など、ドラマとしての面白さもしっかり兼ね備える。そして「イスラエルとパレスチナの対立」に対して、綺麗事としては片付けないけれども、確かな「希望」を感じさせるラストが力強くて素晴らしい。脚本のクオリティは高い。現在のイスラエルとパレスチナへの想いを、昼メロやフムスにメタファーとして忍ばせたことなど、サメフ・ゾアビ監督の演出も良い。上映時間も97分で過不足無し。

上映後のQAの熱気も凄まじく、観客賞の最有力候補の1本であることは間違いなし。中東情勢に目配せする社会性の高さや、ドラマの質の高さも踏まえると、グランプリも期待できるのではないかな?

映画祭での受賞の有無に関わらず、ぜひとも日本での劇場公開を期待したい。
今のところ今年のコンペでは圧倒的にオススメです。
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