Inagaquilala

テルアビブ・オン・ファイアのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

4.1
東京国際映画祭のコンペティション作品。自分が観たコンペティション作品の中では、一、二を争う好きな作品だ。イスラエルのテルアビブに住むパレスチナ人の主人公が、ひょんなことからパレスチナでつくる人気ドラマの製作に加わる。脚本家として起用されるのだが、撮影現場に行くためにはイスラエルの検問所を通らなければならない。ある時、検問所で止められ、そこの主任につかまってしまうが、彼の奥さんが、脚本を担当している人気ドラマのファンで、いろいろ主人公にストーリーのアイディアを語る。強権を振りかざして、主人公に干渉してくる検問所の主任のリクエストはどんどんエスカレートしていく。

コンペティション作品には不利なコメディ作品だ。それもややブラックユーモア的な部分もあり、審査員受けはしないのでは。ただ、作品としては、ひじょうに練られていて、笑の中に、現在のイスラエルとパレスチナの問題が塗り込められていて、興味深い。ややおざなりのラストに、少し注文はつくが、この作品を現在のイスラエルでつくったというのが、なかなか勇気がいるのでは。舞台挨拶に登場したサメフ・ゾアビ監督は、パレスチナ人だが、イスラエルでの上映も決まっていると言っていた。コメディのなかに託したメッセージはなかなか考えさせられるものがある。
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