dita

三人の夫のditaのレビュー・感想・評価

三人の夫(2018年製作の映画)
4.5
@シネマート心斎橋  

失くす友達もドン引きする恋人もいないので好き勝手に書きます気分が悪くなったらごめんなさい。と一応予防線を張りつつ、やっぱり好き勝手に書きます。

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ぶっちぎりでパパイヤの優勝です!と雄叫びを上げたい気分。言うても”フルーツ”・チャンですからね、スマホなんて敵じゃない。二位はやっぱりアワビ、定番ということで。

遠くに見える香港の美しい街並みと、彼女と三人の夫がいる場所は当然同じ空の下にあるけれど、まるで合成写真のように相容れない空間でもあるという悲哀。それでも、その悲しみに負けないくらいの強い強い欲がある海の上は、陸の人から蔑まれる場所では決してなかったと思う。むしろ、持て余すほどの欲を全身に纏って生き抜いてやるという希望の場所であるとさえ思えた。この映画のいちばんよいところは愛>性という綺麗ごとを描いていないところだと思うけれど、だからこそ「空」が「そら」であり「くう」であること、満たされないのは性欲だけではないというのが少しだけ垣間見える瞬間がとても切なかった。

「性」は「せい」であり「さが」でもあることを包み隠さずに、堂々と喘ぎ声を上げる彼女がとても素敵だった。一瞬だけ知的障がいの設定じゃなくてもいいんじゃ…と思ったのは事実。でも、早漏野郎に向けるあの目を見た時に、彼女が「性」を求める時には余計な感情は入らず、ただ「欲」としてそれを求めているというのがわかった。あの涙は凄い。障がいがあってもなくても人は人だし、性欲なんて人それぞれ。むしろ彼女の生き方はこうなのだから文句を言われる筋合いなんてないんだなと。

あと、彼女関連でいうと、花火のシーンめちゃくちゃ好きで、台詞なんてなくても伝わる愛情がそこにあって、ああいうのを何の説明も無しにサラッと描かれるとめちゃくちゃグッとくる。今年イチ好きなシーンかもしれない。

ここまで剥き出しの映画だと、観ている側も剥き出しの感情が出るのは当然だと思う。気持ち悪いとか女性蔑視だとか障がい者差別だとか、色々言われるのもわかる。でも、今日のわたしにとっては、胸が詰まって泣きそうにもなったけど、それ以上に元気が出て、よし!生きよう!ってなった。感情が揺れた自分が嬉しかったし、観終わった時の感情がマイナスではなくプラスに振れたことも嬉しかった。

嫌悪感を持つ人に「この映画の良さは…」というつもりはさらさらない。わたしだって今日じゃない別の日に観たら全然違う感想になるかもしれないし受け入れられないかもしれない。でも、映画ってそんなものだと思うし、わたしはそんな生(ナマ)の映画がやっぱり好きだ。