ゆめちん

マチルド、翼を広げのゆめちんのレビュー・感想・評価

マチルド、翼を広げ(2017年製作の映画)
3.5
マチルド、翼を広げ

赤いポスターに惹かれ鑑賞しました。

ノエミ・ルヴォウスキー監督の幼少期の思い出を基に、自身の母親を自らが演じたもので、母親への思いに溢れた素晴らしい作品でした。

9歳の少女マチルドはパリで情緒不安定な母親と二人暮らしで、学校では友だちができず、家では母親に振り回され、孤独な日々を送っています。ある日、そんな母親から不思議なフクロウをプレゼントされます。

物語はそんな母親に振り回されながらも、母親のことが大好きで力強く生きるマチルド、割と重めの題材にフクロウというファンタジー要素が加わり、優しい作品に感じます。

マチルドの魅せるさまざまな表情が魅力的。嬉しいときに見せる愛おしい表情、学校でのひとりぼっちで寂しげな表情、怒ったときの荒々しい表情、どれもが自然なもので見事でした。

母親のマチルドとの付かず離れず距離感の演出がとてもよく、マチルドを見つめる優しく繊細な演技が際立ち、母親の愛もまたマチルドに注がれていることが作品全体に柔らかく伝わります。

最後のシーン、母親とマチルドが分かり合えた瞬間なのか、マチルドの清々しい表情が印象的で、観客に深い余韻を残してくれます。
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