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マチルド、翼を広げのakrutmのレビュー・感想・評価

マチルド、翼を広げ(2017年製作の映画)
4.5
精神的に不安定な母親を持つ9歳の少女マチルドが、やり切れなさや孤独感に耐えながらも、母親を愛する様子をファンタジックに描いた、ノエミ・ルヴォウスキー監督のドラマ映画。ノエミ・ルヴォウスキー監督の実体験が元になっていて、その母親役を監督自身が演じている。

小学校では友達が出来ず孤独なマチルドは、突飛な行動を起こしたり、夜遅くになっても帰ってこない母親を愛しながらも、苛立ちや孤独感を募らせてしまう。そんなときに母親からプレゼントされた一匹のフクロウと会話をすることで、どうにか精神的なバランスを保つ。でも母親の精神状態は悪化の一途をたどるばかりであり、ついには...

このような母親を持つ子供はどうしても感受性が豊かになる(母親自身が感受性が高いからこそ精神的に不安定になったとも言える)だろうし、そんな子供の心情をフクロウとの会話というファンタジックな方法で説得力を持って描かれているので、観ている側も知らずと感情移入してしまう。小学校の授業で使った骨格標本に関するエピソードにも、そんな少女の感受性が印象的に表現されている。また、母親に対してマチルドが嫌な顔を見せるようなシーンはなく、映画全体を母親と娘の愛情による暖かさが包んでいて、とても心を打たれる。ノエミ・ルヴォウスキー監督の、母親への愛情がいっぱい詰まった映画であると言える。

マチルドを演じたリュス・ロドリゲスの演技は素晴らしかった。このような役柄は、経験したことがなければなかなか難しいと思うが、それを見事にこなしているのが印象的。個人的には、成長したたマチルド役にアナイス・ドゥムースティエが出演しているのも嬉しい限りである。それから、フクロウが見せる豊かな表情が可愛らしかった。
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