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海抜のeulogist2001のレビュー・感想・評価

海抜(2018年製作の映画)
4.0
大学生の卒業制作とは思えないくらい素晴らしい出来。セリフも極端に抑え、カット割も工夫を凝らしている。俳優も無名ながらも気持ちや雰囲気は精一杯に頑張ってる。全体としてひとつのトーンや空気感に自分なりの話法をしっかりと貫く姿勢には非常に好感が持てた。

上映の後にプロデューサーや監督や演者(もちろん未だ大学卒業後1、2年の若者たち)のトークショーがあったが、テーマ性に質問が偏っていたのは少し残念だった。監督は大変丁寧かつ誠実に、半ば几帳面なくらいに回答しようとしていたが、彼はあくまでも映画監督で性暴力の専門家ではないのだから、そういう事に対する問いかけは少し可哀想な気がしたのは私だけだろうか。もちろん本作のテーマは蔑ろには扱えないけれど、この映画とは別に論じるべきものだろう。

処女作にはすべてが含まれていると言われるが(カット割や絵作り、音楽などを含めた映画の語り口、主題への取り組み方、演出の仕方など)、第2作目はそのどこを伸ばすのか楽しみな作家だ。
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