むぎちゃ

メランコリックのむぎちゃのレビュー・感想・評価

メランコリック(2018年製作の映画)
2.9
レビューが尽く高評価でしのびねぇしのびねぇ、けどしょうがないよね


「それでも幸せにはなりたい」
「殺して欲しいけど死なれては困る」

結局どの世代も矛盾した気持ちを孕んだまま生きてる
その中で時には共通認識を持ったり敵対したりを繰り返す中でイレギュラー的に発生するのが『ずっと続けばいい一瞬』なんだよね…ってハナシ、かな

日常の中に殺人がなし崩し的に組み込まれることを、シュールにシニカルに描いていたのはよかった
人をくべた火で炊いたお風呂に入ってたと思うとちょっと面白い
あとキャッチコピーの回収シーンがまさかあそことはっていうね

んで
ストーリーは正直稚拙で、本当は大筋と同じくらい重きを置かなければならんディテールが尽く疎かになってて、酷い言い方すると『えいがのきょうかしょを頼りに何とかおはなしとして成立させました』みたいな本だった

男と女は1回別れさせなきゃいけない義務感で別れさせたんだろうけど、何の機能を果たしたんだろうか…なにも転がらなかったような
あのままお付き合い続けてて映画的に何の障害がありそうだった?

最後はいい終わり方にした方がいいっていう義務感からのあのラストなんだろうけど、目の前で人を殺されて呆然としてた男が突発的とはいえ人を殺したと
その瞬間はまだしもある程度時間を置いてラストのあのナレーション?あの笑顔?
人を殺した咎を社会的にも、何より映画的にもなかったことにするのはどうなんだろう
彼は作中、何か失ったかな
これから何か失いそうになる描写はあったかな

得るものしかなかったようだけど、そこは『きょうかしょ』的にどうなんでしょう


ディテール部分はキリがないけど、
死体は炉にくべたの?あのサイズの口に?絞殺は糞尿垂れ流しになるけど?ヤクザの(多分)親分の家に護衛とか誰もおらんの?てか頭殺されて躍起になってる組からシレッと逃げられるものかな?銃創ってマキロンピュッピュッの数時間で痛みなくなる?人殺す道具なんだけど?至近距離で被弾したから多分入口出口あるけど縫合したんだろうか?あの辺ぶっとい血管通ってるけど?
とか枚挙になんちゃらホイ

細かい事を…と思う人もいるのだろうか
そもそも本当は細かい事ではないのだが、そういう積み重ねがフィクションにリアリティを持たせてその世界に生きる架空の人物を介して笑ったり泣いたりするものなんだよ
逆にその辺が稚拙だと冷めるんだよ
だから大事なんだよ、ディテールって


あと作品関係ないけど、「こういうマイナー映画が好きな自分が好き」な人、そうでもないシーンでそんな無理に笑わなくても…
むぎちゃ

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