たつなみ

メランコリックのたつなみのレビュー・感想・評価

メランコリック(2018年製作の映画)
5.0
ちょっと笑えて、ちょっと切なくて、最後に『頑張ろう!』という勇気をくれる。
そして、観終わった後も登場人物達の行く末を妄想して誰かと語り合いたくなる。
今年ベスト級の作品に出会ってしまった!

コメディかと思いきや、サスペンスでもあり、アクションでもあり、ラブストーリーでもあり、”お仕事映画“でもある。
ストーリーが縦横無尽に動きまくるので、物語にどんどん引き込まれて行く。
本当に脚本が丁寧で上手い。

そして俳優陣が全員魅力的で大好きになる。
主人公和彦のベタなニート感は微笑ましいし、同僚松本のありえない位の『いいヤツ感』はマジで友達になりたいレベル。
…そして、何よりも和彦の彼女役の百合は男なら絶対に惚れる‼️(力説)
あの『クラスにいそうな”ちょっと可愛い“女の子』感はもはや奇跡のキャスティングである。
ちくしょう!可愛すぎるぜ!

登場人物たちの何気ない仕草や口癖で、その人がどういう性格で、どんな生活を送っているのか想像出来る。
こういう所からも作り手の真心を感じて嬉しくなってくる。

絵に描いたようなステレオタイプの『幸せ』に違和感を感じて生きている和彦。
でも彼が銭湯に行った事がきっかけで、彼は本当の幸せの意味を知ることになる。
何度も登場する和彦の家の食卓は、最初と最後では意味合いが全く違って見える。

『生きること』とは、結局のところ辛い出来事の繰り返しなのかもしれない。
でもその間にある、ほんの僅かな、そしてささやかな『幸せ』を感じる為に、私たちは日々の辛さに立ち向かっている。
そんな現実を生きる我々に、本作は『それでいいんだよ』と、そっと背中を押してくれた様に感じた。

鑑賞後パンフレットを読んだら、本作は新人の映画制作ユニット『One Goose』による作品なんだとか。
またしてもいきなり凄い新人が現れたもんだ。
これからが楽しみ😁

大袈裟かもしれないが、正に『人生賛歌』を描いた傑作。
未見の方、超オススメですm(_ _)m

【2019.9.8 追記】
この作品について、物語展開が『ご都合主義』として批判されている方が数多くいらっしゃるのもよーく分かります。
でもそれ以上に、本作の登場人物たちが魅力的過ぎて、ご都合主義なんてどうでも良いと感じました。
鑑賞後、ライムスター宇多丸氏のレビューを聴きましたが、氏も「それよりも彼らに『とにかく幸せになってくれ!』という気持ちになった」と仰っていました。
それ位、本作のキャラクターは一人一人生き生きとしていて、『また会いたい』と思えるほどでした。
One Gooseの皆さんの今後の作品に期待です。
オーケィ?