TAK44マグナム

愛と欲望の毛皮のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

愛と欲望の毛皮(2006年製作の映画)
4.0
俺の皮も着てくれ〜!


日本から三池崇史や鶴田法男も参戦した、ホラー畑の監督たちが競作するテレビオムニバスドラマ「マスター・オブ・ホラー」第2期の一編。
本作の監督は「サスペリア」のダリオ・アルジェントです。


猟師の親子が禁断の土地に罠を仕掛け、大量のアライグマを捕獲します。
その土地のアライグマの毛皮は上質で美しく、毛皮業者のフェルドマンに売りつけようと連絡します。大儲けできると喜ぶ親子。
しかし、フェルドマンが到着した頃には猟師たちは悲惨な死をとげていました。
あまりにも見事な毛皮に目を奪われたフェルドマンは、そのまま毛皮だけ持って帰ってしまいます。
彼には熱を上げている元モデルのストリッパーがおり、彼女の気をひくためにも上等な毛皮のコートが必要だったのです。
早速コートの作製作業にはいりますが、従業員も次々と怪死。
あのアライグマたちは土地を守る者であり、恐るべき呪いの力をもって復讐を遂げていたのです!
そんなものは信じないと、フェルドマンは疑念を振り切るかのように急いで出掛けます。

完成したコートをストリッパーのシャンナに見せるフェルドマン。
シャンナは大いに喜び、フェルドマンは目的を果たしますが、行為後、だんだんと様子がおかしくなってきます。
そう、遂にフェルドマンにも呪いの力が襲いかかってきたのでした・・・!


これがテレビドラマかと驚くほどにメチャ、グロい!
ケーブルテレビ向けだからなのか、平気でオッパイもバンバン出すし、こういうのが観たい層のことを良く理解されているご様子。
死体を見せるだけでなく、どうしてそんなグロい死体になってしまったのか、その行程を丁寧に見せてくれます。
とにかくゴア描写を見せたい作品なのでしょう。
それだけに特殊メイク等にも気合が入ってます。

別に貞子化したアライグマが襲ってくるわけではなく、何か恐ろしい力によって皆んな気が狂ってしまうんですね。
自分で自分を傷つけて死んでしまいます(死ぬ場面では必ずスイートな音楽がかかる)。
なんだか関よしみ先生の漫画みたい。
アライグマの頭を潰した猟師(ジョン・サクソン!)は顔面陥没、その息子は罠に自らかかって顔面が剥がれて死亡!
毛皮を裁断した男は自分の身体も裁断し、縫い子のオバさんは自分の目・鼻・口を縫って窒息死。
つまり、因果応報、自分がしたことが跳ね返ってくるわけです。
これは面白い趣向ですね。

最後まで呪いを信じず、コートを持ってシャンナの家を訪れたフェルドマンもまた、おもむろにナイフを持ちだし・・・

ひええええ〜っ!!!
こりゃ痛そう!
そんな事する?!
ウゲゲゲーーッ!!

血まみれになったフェルドマンは、剥ぎ取った自分の皮をシャンナに着せようと迫ります!
ははは、最高のキチガイっぷり!
当然、叫び声をあげながら逃げまどうシャンナ。
長い廊下を照明バックに追ってくるフェルドマンの場面はアルジェントっぽくて好きですね。
その後のエレベーターでの惨劇もとんでもないことになってしまって、いや〜良いもの見せてもらいましたよ!
まさしく血の海地獄!

本作においてアルジェントが観てほしいのは、あくまでもゴア描写な気がするので、評価は主にエグい部分に対してとなります。
正直、お話自体は捻りが足りていませんが、短い尺のなかでこれだけの気持ち悪い地獄絵図をみせてくれるアルジェントの変わらぬサービス精神には敬意を表します!


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