エミさん

響け!情熱のムリダンガムのエミさんのネタバレレビュー・内容・結末

響け!情熱のムリダンガム(2018年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

TIFFにて。南インドの映画。
ムリダンガムという打楽器職人ジョンソン (クマラヴェール) の息子である主人公ピーター (G.V.プラカーシュ・クマール) が、将来を決める年齢になった時、作るのではなく、ムリダンガム演奏者になりたいと、親の反対を押し切って名手アイヤル (ネドゥムディ・ヴェーヌ) に弟子入りをするも、他の弟子の妨害で破門になってしまう。そこから巻き返しなるか?というストーリーなのだが、個人的に『バーフバリ』ブームの影響が強すぎて、この映画にもマサラ的な期待をしてしまい、歌って踊るシーンは有るものの、ヒューマンストーリー性が高く、意外に真摯な内容だったことに驚いた。
いや(笑)、中々、面白かったんですよ!
勧善懲悪、順風満帆にはいかない主人公、可愛いヒロイン…と、お決まりはちゃんと押さえてます。爆笑するかと思ってたのに、感動する話だったんです。映画に対して申し訳ない…。

インドだなぁ〜と思うのは、カースト制度の話が絡んだり、土着のルールがあったり、家族の繋がりを重んじる所です。どんなに才能に秀でていたとしても、出身地や身分によって、行ける学校や就ける職業に差異があって、出来ることに限られてしまうのです。現代映画であるこの作品に度肝を抜かれたのは、今どきのオーディション番組があって、そこで優勝をすると、国立音大への切符が貰えるということ。カーストも下方の主人公が古典楽器であるムリダンガムを武器に、機械的効果音とポップでサイケデリックな演出の番組に出場して、社会に挑戦しようというのが、この作品の醍醐味シーンになります。お〜。夢がある!

音楽には差別がないということ、万人が自分のビートを持っているということ、反骨心が人の心も未来も変えること、などなど沢山のメッセージがあって素敵な作品でした。


余談ですがネタバレ。
ラストシーンで、アイヤルが子供を抱いていました。誰の子?と私も思いました。QAにて判明。アイヤルの孫だそうです。アイヤルには息子が居るが、息子はカーストも出身地も違う女性と恋に落ち、結婚を反対されて駆け落ちをしたんだそうな。アイヤルが子供を抱いていることで和解を示したシーンであり、その隣には息子の嫁が並んで座っているとの解説。「最初の編集では入れていたんだけど、冗長すぎるので最終版ではカットした」とのことでした。
インド映画、やっぱり長いわ…(笑)。