ジョニーJoe

カーマイン・ストリート・ギターのジョニーJoeのレビュー・感想・評価

4.3
「素敵」という言葉しか思い浮かばない。

自分にとっての “真実” を自分なりに歩み続けて、今の“場所”にたどり着いて、淡々と日々を そこに注ぐ人たち。魅力的。

(音楽に関わる映画でありながら)根底に静けさが全編で横たわる映画。それは 入念に “作り込み” した作風のせいもあるだろう。

ドキュメンタリーだが、どのシーンも 事前に しっかりセッティングされた撮り方(店主のリックが店へ自転車で出勤する時も、特定のミュージシャンが来店して話に花を咲かせる時も、常に 事前に 固定カメラが 必ず据え置かれて、会話も両者のアングルがしっかり固定カメラで捉えられる)。

ちょっと “作られすぎて” いて、慣れてない人には違和感を生むかもしれないが、本作では 逆にこの作風が、店主=リックの生真面目さをなぞっているようで、個人的には微笑ましく感じる。

“弟子”のシンディとの関係性や出会いのエピソードも、素敵。

ある面では まったく違う志向性や守備範囲を持つ2人が(“師弟”でありながら)お互いに受け取り与え合う なくてはならない関係になっているのが、これからの時代に向けての大きな “希望” とも感じる。

彼女の誕生日シーンは、ささやかだけどジーンと来たなぁ。

どのミュージシャンとの店内での会話も、それぞれ違った内容・話題で、でも どれも深すぎて宝物だらけだったけど(故 ルー・リードの逸話とかも次元が違った)、
最後の方に チャーリー・セクストンが出て来た時には、思わず声が漏れちゃったなぁ。

どこを取っても、人生と真実の物語。

そして やっぱり、エンド・クレジットの「いかなるヒッピーも、この映画では危害を加えられていません」(よく映画にある動物愛護の文言のパロディ)には笑った(笑)

単なる “ほのぼの” じゃなく、自分の、すべての原点に還る時間をくれる逸品。