かがわ

ジェリーフィッシュのかがわのレビュー・感想・評価

ジェリーフィッシュ(2018年製作の映画)
4.3
どうあがいてもコメディにはできないやり切れなさに支配されて帰り道早足になりました。どうしようもなく苦しかった。

今年は、「貧困、子供」のキーワードの作品を見る機会がいくつかあって。その中でもただ生きていくのにもこんなにも大変なのにジリ貧なシチュエーションが、コメディでも救えない打ちのめし方をしてる。「フロリダプロジェクト」に対する反歌とでも言おうか。

最後の電車のとこなんか行くも地獄、戻るも地獄で、どうか電車が通り過ぎないで欲しい。どうかこのまま時間が前に進まないで欲しいって感じ。

サラが1人として自分を尊重するのにはそんなにも犠牲が必要なのかと。自分が子供ではなかったことに気づくっていうか、あの失望と母の喪失をまざまざと見せつけられてようやく後ろの籠を外す。でもそれが希望を伴わないのもとてと面白い。

あと、冒頭とラストの何度も風景を切り取ってスライドのように流す演出が、最後に土地と人とに対する諦観にも傍観にも見えて僕は上手いなぁと思った。

ストーリーは要素だけでは無いのだ。要素と要素の間なのだ。その間に虚構があって、現実よりもリアルになるんだと再認識。
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