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世界の優しき無関心のlpのレビュー・感想・評価

世界の優しき無関心(2018年製作の映画)
3.0
東京国際映画祭にて鑑賞。

ワールドフォーカス部門に出品されている今作は、今年のカンヌ国際映画祭のある視点部門で上映されたカザフスタン映画。上映が少ない開幕日に、唯一時間的に観られる映画ということで鑑賞。鑑賞動機が鑑賞動機なだけに、正直なところ期待値も決して高くはなかった。

しかし、これが映画祭ならではのアート色が強いヒューマンドラマで、まさに映画祭の始まりを感じさせる映画だった!

映画の内容は、父親が遺した借金返済のために家を追われた娘と、彼女を慕う使用人の物語。
まずは映画開始早々、圧倒的な映像美に驚かされる。広大な青空の下に立つ、真っ赤なドレスを身に付けた娘。たったこれだけの画が、とにかく映える。まさに圧巻。
これ程の映像美が映画を包む反面、物語は徐々に苦境に立たされる娘と使用人の姿を淡々と描く。このコントラストが心を掴む。娘と使用人が直面する世界の残酷さも、2人の間に芽生える感情も、圧倒的な映像美が、全てを同じ1つの世界へと包み込む。映像の力で物語の強度が高められているように感じた。

圧倒的な自然の画を観ていると、ファンタジー映画を観ているような錯覚に陥るけれど、時たま『ブリジット・ジョーンズの日記』のポスターが映ったりすると、ふと現実に引き戻される。そんな寓話性と現実味の融和も良い。

まだ土曜日の上映はチケットが余っているようなので、気になる方はぜひこの機会に!
(平日夜の上映でアート色の強い内容とあって、途中で寝オチする人も多かったけど!)
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