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LORO 欲望のイタリアのlpのレビュー・感想・評価

LORO 欲望のイタリア(2018年製作の映画)
4.7
東京国際映画祭にて鑑賞。

ワールドフォーカスに出品されている今作は、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『グレート・ビューティー 追憶のローマ』や、カンヌ国際映画祭を湧かせた『グランドフィナーレ』のパオロ・ソレンティーノが、『グレート・ビューティー』に続いてトニ・セルヴィッロを主演に迎え、ベルルスコーニを描いている。
ソレンティーノの新作というだけでも要注目なのに、それがワールドフォーカスで上映ということは、要は未だ日本公開が決まっていないということ。これはもう見逃せない!そんな訳で早速鑑賞しまのだけれども、これが大傑作!年間ベスト級の映画だった!

ただ、1点だけどうしても引っ掛かってしまう点があったので、まずはその話。
実は今作は、元々テレビ用に二部作(リカルド・スカマルチョ中心の第1部と、トニ・セルヴィロ中心の第2部とのこと)を、世界各国の映画祭出品用に1本の映画へと再編集したもの。その影響だと思うのだけれども、前半のリカルド・スカマルチョのパートが蛇足に映ってしまう。これだけは欠点に感じた。

しかし、そんな欠点も全く問題なし。トニ・セルヴィロ演じるベルルスコーニが画面に登場してから、今作は抜群に面白くなるからだ。
一癖も二癖もあるベルルスコーニを、今作は様々な驚きの逸話にも目配せしつつ、真っ向から描く。盛り込まれているエピソードが凄まじく、思わず笑ってしまうシーンの連続だ。トニ・セルヴィロの演技も最高で、もうメチャクチャ面白い!特に電話をかけるシーンは圧巻!

ベルルスコーニの凄まじいエピソードを並べていると聞くと、ベルルスコーニを批判する映画と思われるかもしれないけれど、実際にはそんな批判的な印象は受けず。むしろ、今作の視点としては、中立的な立場を維持してるように感じた。例えば、上院議員を買収するシーンなどは否定的に映る一方で、老いてもなお現役でいようとする姿勢に対しては、やや肯定的に捉えている節があるように感じた(人生の幕切れをテーマにした『グランドフィナーレ』を撮った、ソレンティーノが監督だからこそ感じるという事情もあるけれど)。また、ベルルスコーニの「人たらし」な一面をしっかり描いている点でも、単なるベルルスコーニ批判のプロパガンダではないことが感じられた。

惜しむらくは、今作はおそらく日本公開が難しい・・・というか、公開されたとしても、大量のモザイクが入りそうなこと。
ハイテンションな演出を採用している今作は、冒頭から裸の女性とSEXシーンが、次から次へと飛び出してくる。極め付きとして、ドラッグ混じりの乱交パーティまで登場する。前半だけなら『三人の夫』よりも、SEXシーンの比重は大きい。

ハイテンションな演出による映像の面白さだけで、もうノックアウトされるけれど、ベルルスコーニの人となりに迫るストーリーの面白さや、トニ・セルヴィロによる絶品の演技も伴った大傑作でした。2018年の東京国際映画祭では、今のところベストの映画です。